【第 99 話】 会計◆QAI42rkje6 様

『背中に・・・』

これは私が物心つく前の事です。
私は当時の事を覚えてなくて、この話は叔父が話してくれました。
小さい頃、私は両親の仕事が忙しかったので田舎の叔父の家に遊びに行ったり、泊まったりしてたそうなんです。
ある冬の日、その日も私は叔父の家に遊びに行って当時飼ってたた犬(幸助)と
母が迎えに来るまで遊んでました。
しかし、いつも母が迎えに来る時間になってもこず、心配していると叔父に母から電話がかかってきて、
「今向かってるけどすごい渋滞でなかなかそっちに行けそうにないから、娘を泊まらせてもらえないだろうか」という
連絡でした。
そして私は叔父の家に泊まることになったんですが、それは起きました。
お風呂もすまして、いざ寝よう!ってなったときにインターホンが鳴ったんです。
叔父が、こんな時間に誰だぁ?と疑問に思いつつドアを開けると、そこには一人の男が立っていました。
いつからか降り始めていた雪を頭や肩に積もらせ、男がこう言いました。
「今夜一晩泊めてくれないか?」と。
叔父は私が泊まっていたのでどうしようか悩んでいると、幸助が部屋から出てきて、男の顔を見るなり吠えだした
そうです。
その声につられてか、私も起きてきて幸助と同じ様に泣き出したそうです。
幸助と私がいきなり泣き出したので叔父はびっくりして私たちをなだめようとしていると、男は
「やっぱりいいです。お邪魔しました。」
と逃げるように立ち去っていきました。叔父は意味が解らず呆然としていると、しばらくして男が立ち去った方向と逆の
方から警察が来て「ここに男が来ませんでしたか?」と聞かれたので、叔父は素直に男が向かった方を指しました。
警察はすぐに礼をいった後すぐに追いかけていったので、叔父はいまだに泣いていた私に「どうして泣いてるんだ?」
と聞くと
私は泣きながら、
「はじめにきたおとこが、せなかにちがいっぱいでてるおんなのひとおぶってた」
と言ったそうです。
後日聞いた話だと、ちょうど男は近くの大通りで轢き逃げ事故を起こしてたそうです。
被害にあった人は女性で即死だったとか・・・。

【了】