【第 94 話】 サンズリバー ◆X0uk49LcEU 様

『列車のおはなし』

 

私が関西にいた頃、行きつけの飲み屋さんで某大手私鉄の運転手さんと仲良くなった。
その人から聞いた話しである。

列車には、車と同じように車両毎に異なった番号が付けられる。
関西では4桁が基本らしく、古い物から1000→2000→3000とタイプ別に付けられるらしい。
これが俗にいう「○○系」という訳だ。
そして更に、ある決まりがあるという。
その決まりとは、3000の次は5000になるという事だ。私は冗談めかしに「4(死)の番号を避けてる?」
と聞いたら、返答は「その通り!」だった。そして「人の命を預かってるからね。」と付け加えた。
科学や技術が進んだ現代でも『縁起担ぎ』があるのだと思った。ただ、それ以外では4も使うとの事だった。

その人は、まぁまぁベテランで、人身事故等も経験している。
人がホームから飛び込む時は、「エイッ」とジャンプしてくるものではないという。
そして、通過する駅でスピードを出していても、事故に遭いそうな時は何か違和感があるらしい。
飛び込もうとしている人を何かが招いているといった感じだ…と言っていた。
だから、フワーッと何かに引き寄せられるように落ちてくるという。
 

遺体の処理は、警察が来ても触らず、鉄道会社の職員が行うと言っていた。
その方法とは、………………[ピーーー]…………[ズギュン ズギュン]………………である。

そして遺体搬送が終わると、列車を車庫へ入れる。
事故車は直ちに検査を受け、必要に応じて修理や部品交換が施され、見た目には事故車と判らなくなるらしい。
しかし、列車の番号は変わらないため、その番号がずっと記憶に留まるとの事だった。
車庫には沢山の線路があるが、一般には公表されていない人身事故を起こした車両専用のレーンがあるという。
その車両は、そこで一定期間「休車」として置かれると言っていた。

その後、神主により御祈祷が行われ、試運転をした後にダイヤに戻るとの事だ。
また『縁起担ぎ』かと思ったが、そうしなければ、その車両は続けて人身事故を起こすそうだ。

どこまで本当の事かわからないが、現代科学では解明されない「何か」があるのだろう。
今、貴方が利用している列車が事故車でない事を祈る。
仮に事故車で、もし御祈祷を受けていなければ、それは人智の知る由ではないかもしれない………。


【了】