【第 70 話】 サンズリバー ◆X0uk49LcEU 様

『真夜中のドライブ[関西編]』

 

いつの日だったか、運転免許取得記念ドライブを僕と友人3人の計4人で決行。
18歳だったと思う。場所は滋賀県の比叡山ドライブウェイ。初めての真夜中のドライブで、みんな大興奮だった。

比叡山から奥比叡へ行く予定を立てた。まだカーナビなど無い時代だから、地図を片手に…。
まずは友人Aが運転し、みんなで交代しながら各々の好きなミュージックをかけるという決まり。
僕はMadonnaと松田聖子のカセットテープを用意していた。
他にはサザンオールスターズや自作のマイベスト等、人それぞれでワクワクしていた。

道のりは順調そのもので、スナック菓子を食べながら、とても盛り上がって楽しんでいた。

比叡山ドライブウェイも難なくスイスイ走り抜けていた。
途中で道が分かれていたが、地図の事などすっかり忘れ、感覚で突き進んで行った。
友人Aが僕に言った。「なぁ、そろそろ疲れたから、運転代わってーなー。」
僕は「おう、ええで!」と即答し、どこかキリのいい所で代わる事にした。

しばらく走ると自動販売機が見えたので、そこで缶ジュースでも買って休憩し、運転を代わる事にした。
車を一旦止め、みんなで缶ジュースを買い、再び車に乗り込んだ。
次の運転は僕なので、もちろん運転席に座った。

ドンドン!  皆「ヘッ!?」  ドンドンドン…  「ハッ!?」
ピカーッ!! ……対向車はない。
みんな口々に「しょうもない事すんなや?」 「誰やねん?」
 

僕が「はよ行かなヤバいんちゃうか?」と言った矢先に金縛りに遭った。人生初の金縛りである。
友人達は「オイ!オイ!!」「どないしてん!?」と口にするが、僕は応えられない。
あっという間に車内は静まり返った。勇気を出して目を開けると、みんなが硬直状態である。
しかし、あの光もなく自動販売機以外は暗闇の中だ。人影も何も見えない。

どのくらいの時間が経ったのだろうか、僕達の身体は元に戻った。しかし放心状態である。

不思議な事に、記憶はここで途絶えている。後日、何度かこの出来事について話しをしたが、
みんな同じように途中からの出来事を思い出せず、また、どうやって無事帰ったのか覚えていない。
僕達は、この話しは自然と封印してしまった。
それ以来、比叡山へは行っていない。あれは何だったのか今でも謎である。


【了】