【第 64 話】 ガタロー ◆l7Mb16VB82 様

『奇妙なオジサン』

 

幼少の頃、奇妙なオジサンと遊んでいた
俺が3歳か4歳くらいの頃だったと思う。両親は自営業で自宅の隣に店を出して働いていた。
まあすぐに行き来できるから俺が自宅の部屋に一人で遊んでることもよくあった
その時に現れるのがそのオジサン。うろ覚えだが憶えてる限り書くと、現れる時はいつも押入れから出てくる。
そのオジサンは常に四つん這いで動く、そしてそれ以上に奇妙なのは首が180度上を向いてて背中から上を見る状態でいる事。
俺は最初怖くて泣き叫んでたが、オジサンは普通にやさしく接してくれてすぐに慣れて一緒に遊んでくれた。
そしていなくなる時は突然に、毎回いつの間にか消えていた。だがその時は不思議とそんなものだと俺は思っていた。
オジサンについては、名前は聞いたけど忘れた。首は怪我して立てなくなってこんな状態らしい。
そのオジサンの事を親に話ても仕事が忙しい事やいい加減な性格であまり真剣に聞いてくれなかった。
オジサンと一緒に居る時はおもちゃで遊んだり、話をしたりした。お菓子はあげたけど俺が食べなと言って食う事は無かった。
話については、どこどこの誰が生まれた、誰が死んだってのが多かったが、子供だったのでそれが誰なのかは全く分からなかった
ただ、夕飯とかで両親が話し込んでる時に聞く名前もあったので実在の人物なのだろうとは思った。
結局そのオジサンは1ヶ月もしないうちに仕事で遠くに行く、また会えるかもなと言って握手してくれた後
初めてトイレに行くと言ってトイレに入ってそれっきり。トイレを開けてもそこには誰もいなかった。
それが子供の作り出した幻覚なのか、家々を行き来する座敷童や疫病神の類なのかは分からない。
この間飲み屋で隣の客が似たようなオジサンの話をしてて何故か今の今まで忘れててイキナリ思い出した話

【了】