【第 43 話】 ぬこ ◆RMw3.cMGUE 様

『転落』
 

職場の同僚(♀)から聞いた話。

彼女が通っていた小学校のすぐ隣には昼間でも薄暗い森があった。
ある日、何を思ったのかそこを探検してみたいと思い、昼休み一人で森へ入っていった。
一応、道らしきものはあったためそこをたどりながらしばらく歩いていくと開けた空き地に出た。そこの真ん中にはこじんまりとした祠と小さな地蔵があるのみだった。

なんだつまらないと思い、そこを後にした。残りわずかになった昼休みの時間は校庭のすみにあるジャングルジムに登ってそこでぼんやり校庭を眺めながら過ごすことにした。
ジャングルジムの頂上で校庭や、さっき行ったばかりの森を眺めていると突然何かに背中を押された。
気がつくとジャングルジムとは反対方向の校門前に倒れていた。
ズボンをみればボロボロにすれていた。まるで何かに引きずられたかのように…
ちなみに校庭には彼女の同級生もいたはずなのだが誰も彼女学校ジャングルジムから校門前に異動するのをみていないという。

そういえばウチの学校の前、結構車とおるんだよね。と彼女はこの話を語った時、最後にそう付け加えた。

【了】