【第 35 話】 タメ人参◆i.m1cVbrghng 様

『深夜のカップル』
 

もう7年くらい前の話なんですが
当時から両親とは別々に暮らしてまして、金がなく、お腹空いたんで実家にご飯を食べさしてもらいに行こうと思ったんです
深夜に(笑)
距離にして自転車で40分くらいの距離
でも自転車がパンクしてて徒歩だったんですトホホ(スイマセン)
季節は真夏の蒸し暑い深夜
汗だくになりながら人気のない橋を歩いてました
歩いてると自転車に2人乗りした若いカップルがゆっくり通り過ぎたんですね
大体気配ありますよね
人が自分の横の位置くらいまでこられると
通り過ぎるまで全く気付かなかったんです
その時はあまり気にもしませんでしたが
橋を渡り切り大きな道路に出ました
俺の歩いてた道はほぼ直線で向こうの方まで見渡せる道路横の歩道を歩いてました
歩いてると
ふと道路を挟んだ反対側の歩道を見たんですね
先ほどの自転車に乗ったカップルがゆっくり自転車こぎながら僕より後方にいるんですよ
その時も俺は、カップルはどこかで降りて喋ってて俺が気付かない内に追い越したのかなぁくらいに思ってました
また自転車で追い越される俺…その道にはコンビニとかはないんですね
飲食店もありませんし
またトコトコ歩く俺

 

しばらくして反対側の自分より後ろの方の歩道を見ると
またいるんですよ
そん時は、えっ?ってなりまして
この時点で二回も俺を追い越してるんですよ
曲がり門なんてないし寄る所もないんですよ
止まるしか、また自転車に追い越されてしばらく歩きます
ふと反対側の俺より後ろの方の歩道を見たら自転車に乗ったカップルがいるんです
この前の時点で反対側の歩道は意識してましたから自転車が止まり俺が追い越せば気付きますし
俺の後ろなんて事はないはずなんです
もう見ないようにして実家についてから
落ち着いて思い出したんです
初めカップルが通り過ぎた時、彼らには影がなかったんです
皆さんも人とすれ違う時は影があるか確認してみて下さい
ひょっとすると影がないかも知れないですよ…

【了】